医療特撮部LOG

特撮好きな看護師の送る日々の記録

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引用: 医療崩壊 ・・・をちょっと考えた

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=402848789&owner_id=6605251



引用の最終編となります。



正直、ここが一番良く読んで、知っておいていただきたいところかと思います。



日本の医療崩壊の話にダイレクトにつながっていますので・・・



これを読まれた医療者の方は、これほどわかりやすい話はこれまでない、と絶賛しています。



自分もここまで分かりやすく痛快に斬っている文章は知りません。




============================================



「先生,先日インフォームド・コンセントについて御高説を伺いましたが,実は mixi に載せさせて頂きました」

「ふーん,それで」

「結構インパクトがあったみたいで,コメントを沢山いただいたんですよ」

「そう。おまえの靴の話よりはずっと中身はあるからな。文句を言ってきた奴が沢山いただろうな」

「それが意外にも,コメントを下さった方には同じ意見の方が多かったんです」

「おまえはおれ様のことを独りよがりとか独善的とでも思っているようだが,おまえの大きな勘違いだって事が判っただろう」

「はい,素晴らしい先生だって事がよく分かりましたから,もう少し御高説を聞かせてください」

「また mixi に載せるつもりなら取材料払えよ」

「にし堀で冷酒一本でどうでしょう?」

「いいねぇ。いくらでもしゃべっちゃうよ。その代わり正確に書けよ」

「そりゃぁ当然です。その点は安心してください」

「そのメモとレコーダー出すの辞めろよ。そう言うのを出すとエキサイトしにくいだろう」

「それくらいがいいんです。この手の話をしだすと,先生は私に向かって怒り出すでしょう」

「そうかな?おまえが変なこと聞くからだろう」

「私に怒っても仕方ないじゃないですか。私は庶民の代表として一般的な人の意見を代弁しているだけなんですから」

「なんかおまえの話を聞いていると,あほらし過ぎてイライラしてくるんだろうな。まぁいいや。それで何だ?」

「いえねぇ,この前のインフォームド・コンセントの話の後 mixi やらブログやらで似たような話を色々読みあさってみたんです。するとお医者さん達は,産科・小児科のみならず外科も内科もみんなもう限界で,‘立ち去り型サボタージュ’って言われている現象が起きていて,勤務医の先生が減っているって話です。そして‘イギリス型医療崩壊’が起こりつつあるって話なんですけど ・・・ 先生,ご存知ですよね?」

「立ち去りがたサボタージュなんて聞いたことないな。なんだそりゃぁ?」

「お教えしましょう。激務に負われたお医者さん達が,勤務医に見切りをつけて,開業したり医師の仕事をやめたりしてしまうことです。最近医師の間では QOML の向上を求める人が多くなっているって話ですよ」

「QOML? QOL じゃなくてか?俺の知らない言葉ばかり出てくるな」

「教えてしんぜましょう。QOML ってのは Quality of My Life または Quality of Medical staffs' Lifeの略なんです。お医者さんや看護婦さんなどの医療に従事する人達や研究に従事する人達の人生や生活の質のことです。職場での待遇とか労働環境を含んでいる言葉なんですけどね。QOML の向上を求める人を QOML 派って言うんですって」

「要は QOL じゃねェか。それを医療従事者とか研究者に限定しただけの言葉だろう。くだらねぇ。何を偉そうに話してんだよ。それにQOLM 派なんてわざわざ言う必要があるのか? 人間は誰だって自分の QOL を高めようとするのは当たり前のことなんだよ。これまで医者になる奴は浪花節が好きな奴が多かった。加えて赤髭みたいな,医者とはこうあるもんだ!みたいな昔の馬鹿医者どもが作った勘違いした理想像があった。周りから崇高と勘違いしてもらえるような生き方だな。それを捨てさって,その呪縛から逃れることが出来るようになっただけの話だ。ただの普通の人間になっただけの話だろう。ようやく医者どもも自分が普通の人間であることがわかっただけなんだよ。馬鹿が直ったんだな。」

「そう言う問題ですか?」

「そう言う問題だろう。医者が自分の QOL を考えることがそんなに不思議なことか? 俺は自分の QOL を考える。おまえも考える。だったら医者だって考えるだろう。なんで医者だけ考えないって思うの?」

「お医者さんは患者さんのために仕事をしてるんだから,患者さんが一番でしょう?」

「医者が患者のために仕事をしてるだと? おまえ馬鹿じゃない。医者は自分のために仕事をしているに決まってんだろう。医者だけじゃない。すべての職業において,仕事ってのは自分のためにするもんだ。誰か他人のために仕事をしているなんてことは 100 % ありえない。100 %!」

「100% ありえない,ですか?」
「100 % ありえない。他人のために仕事をしているなんて考えている奴はただの馬鹿。考えが足りないだけなんだよ。医者は自分のために仕事をしている。ただし,その仕事の中身が,患者を第一に考えるって仕事なんだ。仕事として患者を第一に考えているンであって,仕事は自分のためにするんだ。逆に医者が仕事として患者を第一に考えなければ,それは自分のためにもなりえない。医者と言う職業を選べば,自分が納得できる仕事ってのは,患者を第一に考えるって事になるんだ。それ以外もありえない。だから仕事の時だけ患者のことを考えればいいのさ」

「なんかわかりづらいですね」

「だから世間の連中も勘違いするんだろうな。医者は患者のために『患者のため』にこだわってるんじゃぁないんだ。医者が『患者のため』にこだわるのは,自分自身の生き方のためなんだよ。おまえは自分のために仕事をしているはずだ。しかし仕事の中身は,おれ様に良い仕事をさせることだ。つまりおれ様のことを第一に考えて仕事をしている ・・・ はずだよな。仕事を突き詰めることでサラリーを貰い,自分を磨き,生きてる時間を楽しむ。人について理解する。そして最終的にはうまく死ねるようになるわけだ。ところがおれ様の秘書のくせにおれ様のことを第一に考えずに仕事をしていれば,自分を磨くこともできず,人生も楽しめず,死ぬことも理解できずに一生を終わるんだよ。それじゃぁ何のために仕事をしているのかわからンだろう。そんなものは仕事と言えない」

「頭がこんがらがってきました」

「おまえの脳みそには期待してないからかまわない。おまえの話しはもういい。医者に話を戻せばだ,今の患者はずうずうしくて,医者が自分自身のために『患者のため』と考えているところに付込んで,『患者のため』を第一に考えて低賃金で休まず働け!それがおまえたちの使命だ!とかぬかすんだ。医者も忙しさの中で自分のために働いているのを忘れちまって,馬鹿どもの要求に答えなけりゃぁいけないなんて思っちまうんだろうな。俺に言わせりゃ,患者を診るのに疲れちまって,自分も磨けず,人生も楽しめず,人とかかわり続けたのに人を理解できないで終わる医者なんぞ,結局正しく仕事をしなかった馬鹿者なんだよ。おまえの話じゃ,医者が自分自身の QOL を考え始めたってことだから,これからは立派な医者が沢山出てくるって事じゃないか。大変結構なことだ。俺の知り合いの血液内科医も少しはわかってんのかなぁ。あいつ馬鹿だからなぁ」

「でもそんなこと言い出したら病院は回りませんよ。今ですらあちこちの病院や診療科で充分な診療が出来ないんですよ。それがお医者さんが QOL を求めるようになって,きっちりきっちりで仕事を終わらせたら,益々充分な診療を受けられなくなるんじゃないですか」

「そんなこと言ったって仕方ねぇな。医者の責任じゃないし」

「お医者さんの責任じゃないなら誰の責任なんですか?」

「おまえの頭だと医者の責任になるのか?」

「そうは思いませんが,さしあたって目の前にいるお医者さんに頼るしかないので ・・・」

「さしあたり目の前にいるからってンで医者の責任にしちまうなんて,ずうずうしいのにも程があるぞ。おれ,ずうずうしい奴嫌い。医者に文句を言っていいのは,その医者の医者としての技能に対してだけ。待ち時間が長いだことの,対応が丁寧じゃないだことのとグダグダ言ったところで,目の前にいる医者に解決できることじゃぁないだろう。俺の知り合いの糖尿病の医者のところには,外来に1日80人の患者がくるんだとさ。8時間ぶっ続けで外来をやり続けたって,1時間に 10 人こなすことになる。一人当たり6分だ。どうやって一人30分も時間をかけて診察するんだ?どうやって丁寧に説明するんだ?加えて入院患者もみなけりゃならない。入院患者は,話してもわかりもしないくせに権利だけ主張して,充分なインフォームド・コンセントをしろとか言う。勤務医の平均労働時間を知ってるか?」

「1週間に5.5日働いて,一日9時間で約50時間。10時間なら55時間くらいですか」

「平均で70時間だ。一週間毎日休みなく10時間働いている計算になる。日曜日に休むなら1日11時間30分は働いていることになる。日曜日以外は土曜日も含めて朝の8時半から夜の8時まで働いていることになるんだよ。おまえも少しつめの垢でも飲め。おまえ,ヒラリー ( Hillary Rodham Clinton ) さん,知ってんだろう?」

「ヒラリーさんなら知ってますよ。今度アメリカ大統領選に民主党から立候補するんでしょう」

「そうだよ。そのヒラリーさんだ。ヒラリーさんなんて日本の医師の事を『聖職者のごとき献身』とか言って絶賛したって話だぞ。何で外国の要人が日本の医者のことを絶賛してるのに,そのありがたさが日本国民にはわからないんだ?」

「ヒラリーさんそんな事言ってたんですか。日本のお医者さんってやっぱり献身的なんですね」

「おまえにゃマネできないだろう。ただもう限界を超えちまってる。だから後は荒廃するだけなんだよ。それに献身的なだけじゃない。医療システムや医者の能力も優れてる。ここのところ産科の医者や小児科の医者をとっ捕まえて刑事訴訟までやってる始末だが,1000人の赤ちゃんが生まれる時の死亡率がどれくらいか知ってるか?日本は3~4人くらいだ。これは世界最高の数字だ。前にも言ったが,産科や小児科の医師の努力の賜物なんだよ」

「もっと高いところもあるんですが?」

「順位は毎年微妙に入れ替わるだろうが,スエーデンとかフィンランド,ノルウェーなんかは毎年 3 ~ 4 人くらい。これが現在最高の数字だ。おまえの好きなアメリカは7 人くらい,イギリスは 5 人くらい。世界最高だった日本の乳幼児死亡率もこのまま行けばイギリス,アメリカレベルになっちまうぞ。まぁ自分達でまいた種だから仕方ないがな」

「そうか,日本の医療レベルは高いんですね」

「そうだよ。どこの国に出かけたって,総合的にみれば,日本で治療するのが一番安くて安心だ。実際海外に長期出張している人間だって,病気になれば日本に戻って治療したいって言ってる人間ばかりだろう。それだけ安くて受診しやすくできてるんだ。おかげで山ほど病院にやってくる。国民一人当たり年間20回病院に来るってんだよ,日本では。アメリカは年間5回,スエーデンなんて年間3回しかかからないって話だ。そこに来て医者の数は100床当たりアメリカの1/6,13人程度しかいない。3時間待って3分しか診療してくれないって言ったところで,それが医者の責任だと思える神経が理解できないね。こういうことを医者のせいにできるマスコミの感覚とか一般人の感覚の方がよっぽどおかしいだろう。おまえみたいに病院での問題と言うとナンデモカンデモ医者が問題を解決するもんだと考える奴が多いからおかしな話になるんだ。」

「じゃぁ具体的には誰の責任なんですか」

「医療は社会基盤。つまり病院の整備はインフラ,社会基盤の整備の問題なんだ。だとすりゃ,自治体や日本の国の責任問題だ。もっと突き詰めれば患者になる日本国民一人一人の責任なんだよ」

「え~っ,じゃぁ私にも責任があるって事ですか?」

「おまえが日本国籍を持ってるなら,どう考えたっておまえにも責任があるだろう」

「私は先生の秘書ですよ。先生がお医者さんって言うなら少しは責任があるかもしれませんけど,どうして私に責任があるんですか?」

「おまえの納める税金が安いからこうなったし,おまえが選挙で正しい政治家を選択しなかったからこうなった。だからおまえの責任」

「私の税金が安すぎるんですか?」

「そうだよ。おまえがアットリーニなんぞを買う代わりに税金を納めればいいんだ。インフラの整備には金がかかる。そしてその維持にはもっと金がかかる。でもそのおかげで多くの人が大きな利益を得られる。もちろん税金を払ったおまえも利益が得られる。今じゃぁ山の中でもその日の朝にあがった新鮮な海の幸が食えるようになった。高速道路が整備されたおかげだろう。福岡まで半日もかからない。新幹線が整備されたおかげだ。こういったインフラの整備のおかげで俺たちは時間を贅沢に使えるようになった。そしてこれらはほとんど公共事業だ。つまり税金で造られ維持されているものだ。病院も道路や鉄道と同じだ。病院,医療は大切な社会基盤だ。税金を大量に注ぎ込むしかないんだよ。おまえもさっき偉そうにイギリス型医療崩壊とかぬかしてただろう。イギリス型医療崩壊ってわかってんだろうな?」

「わかってますよ。イギリスでは 1982 年のフォークランド戦争なんかで財政難がひどくなって,サッチャーさんが医療費削減を強力に進めたんでしょう。その結果給料や待遇が悪くなったお医者さんが,より待遇のいいアメリカなんかに移ってしまって,医者の絶対数が足りなくなってしまったんですよね」

「そうだ。そのせいで入院待ちの患者が大量に発生しちまったんだ。癌の手術でも手術待ち時間が 3 ~ 6 ヶ月だぞ。中には待ってる間に癌が悪化しちまって手術できなくなったり,死んだ人がいたって言う。重症の救急患者が,外来の簡易ベットに3日間置いておかれたままなんて事が日常茶飯事になっちまったらしい。日本も今はその方向に向かってるわけだ。まぁアメリカに行く代わりに開業してるってところは違うがな」

「そんなに沢山のお医者さんが勤務医を辞めているんですか?」

「正確な数字は知らないが。たしか年間4500人くらいは勤務医を辞めて開業しちまってるらしいぞ」

「年間4500人!そんなに減ったら,大袈裟な病気になったら安心してかかることのできる病院がなくなってしまうじゃないですか」

「そう言うこと。実際なくなってんだろう。受診制限型の医療崩壊ってやつだよ。じゃぁイギリスの医者が逃げていったアメリカはそんなに素晴らしい医療制度かって言えばそんなわけじゃない。アメリカはアメリカで医療崩壊が起こっている。この前の新聞にも載ってたぞ。カリフォルニア州では病院職員が治療費を払えない患者を安宿に捨てにくるって書いてあった。驚くことに他の州に患者を捨てに行ってはいけない,なんて言う信じられないような法律ができたたんだと。それで他州に捨てる代わりにダウンタウンの安宿に病人を捨てに来るってんだから,恐ろしい国だよな」

「患者を捨てに行くってどういう事ですか?」

「手術はしたが料金が払えないって事が判れば,その時点で捨てられるのさ。アメリカじゃ一般の病室だって部屋代だけで一日3万円から7万円位するからな」

「7万円ですか!? リッツ・カールトンに泊まれますよ」

「しょうがねぇだろう。日本の 5 倍から 10 倍くらいの人間が病院で仕事をしているんだ。その人間の給料を払おうと思えば当然だ。金さえあればそりゃぁ素晴らしい部屋で素晴らしい治療が受けられるだろうが,金がなけりゃ大変なことになる国だな。普通の盲腸の手術をするだけでニューヨークなら250万円,ロスなら200万円くらいかかるって聞いたぞ。もちろん入院は1日だけだ。ハワイは300万だったかな」

「すさまじいですねェ。日本にも本格的に自由診療だけの病院ができてくればそうなるんでしょうね」

「まだ日本国内ではすべて自由診療でやって成功を収めたって病院はないだろうが,そのうち出てくるだろうな。順天堂大学の付属病院だったかな ・・・ たしか相当な金を払って予約すれば待ち時間なしで個室で診てもらえるはずだぞ。芸能人なんかに人気があるそうだ。自由診療なら治療費の設定も自由だから,上手い具合に成功すれば,当然儲けも多くなるだろう。そうすりゃ医師やスタッフを沢山雇えるようになる。良い条件で雇うってことになれば能力の高い人材が当然集まる。そうすれば保険診療の病院のスタッフ不足は益々加速してサービスの質が落ちる。もうどうにもならなくなるだろうな」

「・・・ 結局イギリスもアメリカも医療崩壊が起こっているなら,これからどうすりゃぁいいんでしょうね」

「さしあたりはどうにもならないだろう。一旦はある程度崩壊させるしかないだろうな。崩壊して沢山の人間が死んで,ようやく日本の医療はどうあるべきか,一般人が真剣に考えるようになるだろう」

「そんな人事みたいな ・・・ 多くの人が死んでしまうんですよ」

「俺は勝ち組に乗るからかまわない。弱い奴が死ぬのは生物界の必然だ。これだけ危機が迫っているのにその危機に気付かないような奴らは死んでも仕方ないんだ。何で人間だけは死んだらいけないんだ。俺には理解できない。貧乏人は死んでも仕方ないんだ。足の遅いカモシカはライオンの餌になる。それでライオンは生きていけるんだ」

「酷い事言いますね。人間愛ってもんはないんですか?」

「道路に平気で空き缶を捨てるような奴は早く死ぬのがみんなのためだ。それにおまえだって人間愛なんて持ち合わせていないだろう。人間愛なんて念仏のように唱えたって問題は何一つ解決しないんだよ。おまえに人間愛があるなら,おまえの全財産を医療再建のために投げだせ。多くの国民は良い医療は受けたい。でも金は出したくない。労力も提供したくない。自分はとにかく何にもしたくないけど,いい医療だけ受けたいって言うふざけた連中だ。そんな人間のために何かする気になぞならン」

「でもなんで先生はお医者さんの肩をそんなに持つんですが?」

「俺や俺の家族が病気になったら困るからに決まってんだろう。おまえが死ぬのは一向に構わない。しかし俺の家族が手術をする時に,当直明けの医者なんかに手術して欲しくない。麻酔の専門医がいて欲しいし,きっちりディスカッションできるくらいの人数がいる病理で診断して欲しい。手術後は内科の医者にも管理を協力して欲しいし,おまえに対しては無理でも,おれ様に対してはきっちりとしたインフォームド・コンセントをして欲しい。そんなことをしてくれる病院ってのはだ,医者が沢山いるはずだ。なんで医者が沢山いるかって言えば,医者に充分休養を与えて,沢山給料を出してるからだ。良い労働条件で実力を存分に発揮させる環境を整えているからだ。そんな病院なら仕事をやめたいなんて思うはずはないからな。でもそんな病院はほとんど存在しない。だからおれ様は困ってる。だから医者の肩を持つ。簡単な理由だ」

「そんな病院無いでしょうね」

「あるわけないだろう。今の診療報酬の仕組みでそんな病院を作ったら,半日でつぶれちまう」

「でも日本の医療費は30兆円を超えたんでしょう?」

「それがどうした」

「すごい金額だなぁって思っただけですよ」

「じゃぁ,いまの医療のままほっとくか更に引き締めればいいじゃないか。俺はかまわない。知り合いの医者は沢山いるからな。」

「先生だけの問題じゃぁないでしょう」

「みんなが30兆円を高いって言ってんだろう。仕方ねェよ。でも何を根拠に30兆円が高いって言ってんだよ。だいたい医療費なんてもんは自然に増えてくもんなんだ。まして日本は高齢化社会がどんどん進んでいる。糖尿病や高血圧なんかのメタボリックシンドロームも更に増えるだろう。昔みたいに抗生物質を出したらそれで終わりなんて病気はほとんどなくなってるんだ。診断技術がどんどん進むし,患者の方からCT撮れだのMRI撮れだの言う始末だ。最近はPETだもんな。昔みたいに聴診器を当てたり腹を触ったりするだけで診断する時代じゃない。精密な検査,正確で侵襲の少ない治療を望むくせに,金を払うのがいやだなんて馬鹿言ってんなといいたいね」

「そう言われればそうですけど ・・・」

「それに世界的にみたら日本の医療費なんてまだまだかわいい方だ。国内総生産に占める医療費の割合なんて 先進7か国中最低の8%だぞ。アメリカなんか突出していて日本の約倍,15%,ドイツが11%,フランスが10%くらいだ。先進7カ国の平均でも11%くらいだぞ。いったいどこが高いんだ?」

「え~先進国の中で一番割合が低いんですか?知らなかったなぁ」

「知らなかっただと!じゃぁおまえなにを根拠に 30兆円が高いとか言ってたんだよ!」

「それはなんとなく ・・・ だって医療費が高くなったから医療費を抑制するために色々考えなければならないってニュースでやってますから,何か異常に高いのかなぁって思っただけで ・・・」

「そう言う奴のことを馬鹿もんって言うんだ。なんも根拠がないくせに,マスコミだの厚生労働省だのに踊らされて,結局自分の首を自分で締めてんだよ。哀れだねェ」

「でも,日本にはそんなにお金があるんでしょうか?」

「なくても必要ならつぎ込むしかないだろう。それに金の配分を考え直せば解決できる部分もかなり残っているしな」

「どういうことです?」

「医療はインフラだって言っただろう。じゃぁ公共事業費を回せばいいんだよ。日本の公共事業費は土地代を除いても世界一だからな」

「そんなすごいんですか」

「すごいよ。日本の国会議員は自分が当選するためだったら何でもやるからな。確か40兆円くらいのはずだぞ」

「それって多いんですか?」

「ダントツの一位が日本で,二位のアメリカは約1/3の14兆円くらい,三位のフランスで6兆円くらい。アメリカなんか日本の倍も人口がいてあんなに広い国土で14兆円だ。一時の県民のご機嫌取りのために,無秩序に開発して,国土を見苦しくするくらいなら,医療費に回せばいいじゃないか。同じインフラの整備なんだから。目の前に道路が一本とおるのが5年遅れたって,今日の医療が安定している方がよっぽど現実的じゃないか」

「今の医療サービスをなんとか向上させることはできないんですか?」

「金がなければ出来ない。大体サービスってのは,自分に余裕がなければ洗練されるもんじゃぁないんだよ。相手の気持ちや様子をみて,察するのがサービスだ。心でやる仕事だな。自分が日常の仕事に忙殺されていたら,相手の気持ちを察するなんて事は不可能だ。自分のことで精一杯なんだから。疲れた脳みそ,疲れた体の人間の心は当然鈍化するのが物の理。サービスの質が落ちるどころかサービスなんてどっかに行っちまう。いい医療を受けたけりゃ,医療従事者に沢山の金と休みを与える,これが一番大切だ。今の勤務医の給料は相当安いって言うからな」

「そんなに安いんですか?少なくてもお医者さんは高給取りでしょう?」

「俺の知り合いの血液内科の医者は 40 過ぎてるけど,2000万にははるかに届かない金額らしいぞ。残業手当がついてだ。公立だと 1500 万程度らしいな。エリートなんて呼ばれている連中の中には40歳超えて 2000 万以上貰っている人間は山ほどいる。遅くまで仕事をして,ガキの様な患者どもを相手に幼稚園の先生みたいなことをして,負わなくてもいい責任まで負わされて,休みもなくて 1500万だからな。俺は言ってやったよ。お前は馬鹿だ。仕事を変えろ。俺の助手になれってな」

「それでも結構貰ってるんじゃないですか?」

「おまえより貰ってて当たり前だ!おまえを基準に物事を考えるなって。そう言えばどこかの地方自治体で,産婦人科医を年収 5500万円で雇ったって話題になったよな」

「ありましたねぇ,そんなニュースが」

「年間の休みはほンの数日。後は病院に寝泊りだったそうだ。1 年で辞めちまったらしいぞ。そう言えば,研修医に1000万出すと言い出して研修医を募集した病院もあるらしいが,結局数名しか来なかったッて話も聞いたな」

「mixi にもその話がありましたよ」

「金の問題は大事だが結局金だけでは医者は集まらないって事だな。しかし金の問題は避けて通れないんだよ。とにかく庶民にとって大切なことは,インフラは自分が育てるって感覚を持つことだ。病院も医者も看護婦も,おれ様が育てるって感覚でみていかないといけないものなんだ。その辺のことを社会の全員とはいかなくても,半分くらいの人間が理解しないと何をやってもいきづまっちまうンだ」

「社会で育てるんですか?」

「そう,社会で育てて維持するもんだ。志が高いスーパーマンみたいな医者がある日突然舞い降りて,自分達に充分な医療をほどこしてくれる,なんて馬鹿な考えは早く捨てなきゃ駄目だ。自分達が安心して高い QOL を維持しつつ生活するためには,よい病院が必要だ。よい病院を作るために,自分達の手で高度の医療を施せる医療従事者を育てていくことが必要だ。そのためにそれなりの分担をみんなでする。ほどこされる物でなく,自分たちで作り,維持し,守っていくものだって意識が必要なんだよ。そういった意識の上に上手く運営するためのシステムを構築するんだ。そういった意識がなければどんなシステムを組んでも結果は同じだ」

「相当先の長そうな話ですね」

「当然だ。もう医療崩壊しちまったんだ。小手先の仕事じゃないよ。どれもそれなりの覚悟がないとできないことばかりだ。決断を下す人間も,それを受け入れる庶民にも覚悟が必要だ。今話したところで何も問題は解決しない。噛みつくだけならこの程度のところで終わりにしておくのがいいんだ」



===========================================






ここまできて、最後にまとめの言葉です。



医療者の思いを詩でつづった本から・・・(本の名前は失念)





私たちは 白衣の天使ではありません




白衣を着た 人間なのです





患者も人間なら、医療者もまた人間です。



医療を作るのも人間なら、医療にかかるのも人間です。



現状を保つのも人間なら、改善させるのも人間、ぶち壊すのも人間です。



この国の医療の未来は果たしてどこへ向かうのでしょうか。

http://ameblo.jp/crystal-hanetaro/entry-10031988174.html
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  1. 2007/04/28(土) 00:07:32|
  2. 医療看護(~08/2/26)|
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  4. コメント:1

修行その11 ウキャウキャ! 獣拳武装 | ホーム | 引用:病院にかかると言うこと ;インフォームドコンセントを考える-2-

コメント

■無題

最後の最後まで勉強になりました。
良い医療を受けるためには、私達一人一人がそのために、努力し、協力し無ければならいという事を、恥ずかしながら今まで気がつかずにいました。
この問題は個人個人の努力で解決できる事では到底無いのですから、こういうことこそマスコミが取り上げ、国全体で考えていかなければならないと思いました。

『ウルトラマンも人間も仲間がいる限りどんな強敵とも闘うことが出来る。そして勝つことが出来る』

協力し合わなければ大きな困難には敵わない問う事です。我々はそのことをもっと考えていくべきだと思いました。
詩の言葉私の名言集に載せてもらいます

嶋崎勇 2007-04-28 08:45:38 [コメント記入欄を表示]
■>医療崩壊

>嶋崎勇さん
よくぞ、最後までついてきてくれましたw
いやもちろんコメントしてくれなくても読んでくれている方もですb
これほど読みやすく、わかりやすく自分に書くことができるか疑問ですので
ほとんど転載になってしまいましたがわかってくれる人がいたならば
ご紹介した意味があるというものです。
マスコミは国民の感情を煽るのは上手ですが
物事の本質をゴマカすのも上手です。
現状に対する報道に惑わされないで考えてほしいですね。
1人の意識でもいいから、諦めず少しづつでも変わっていければ
このあとの医療界もきっと変わると思います。

優咲 2007-04-28 22:07:18 [コメント記入欄を表示]
■はじめまして。

優咲さん、はじめまして。
神凰と申します。
どうぞよろしくお願いします。

将来薬剤師になる自分にとって、この記事は大変勉強になりました。
医療崩壊は薬剤師にとっても重大な問題ですからね。
医療に関わる人間として、また医療を受ける人間として、僕も意識を変えていこうと思いました。

長々と失礼しました。





神凰 2007-04-29 00:25:15 [コメント記入欄を表示]
■>医療崩壊

>神凰さん
レスが遅くなってしまい申し訳ありません。
薬剤師を目指されているんですね!
相当険しい道かと存じますが、お互いがんばっていきましょう^^
医療崩壊は医療従事者全てにとって人事じゃありませんからね・・・
今働いている人たちも、そしてこれから働く自分たちも
ちゃんとした見解をもっていないと辛いものがありそうです。

優咲 2007-05-01 22:42:28 [コメント記入欄を表示]
  1. 2007/12/04(火) 19:12:48 |
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