医療特撮部LOG

特撮好きな看護師の送る日々の記録

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とある胸痛患者のプロセスレコード

今日の夜勤であった話をフィクションを加えて
プロセスレコードとして記録に残そうと思う。

もちろん登場する全ての名前とかもろもろ全部フィクションだ。
そこんとこよろしく。


急性心筋梗塞の患者を受け持った夜勤。
その明け方のことである。



♪~(ナースコールの音)

「田中さん、どうしました?」

「ちょっとトイレに連れて行ってほしいんだ」



田中さん(もちろん仮名)
90歳男性(もちろん嘘設定)
病名:急性心筋梗塞(これは本当)
カテーテル治療にて、冠状動脈にステント留置をした方である。




トイレ歩行に付き添い、ベッドに戻ってきた。

「うーん、なんか胸のあたりが痛いねぇ」



「どのあたりですか?」
(まずい、もしかして歩いたことで血栓が飛んだか?!
それともまた別の梗塞が起きたのか?!
落ちつけ、とにかくモニター類を外してしまっている。
すぐにつけなおしてベッドに横になってもらおう)


「胸というか…腋に近いほうかなぁ、痛いねぇ」


「とにかく横になってください」
(落ち着け、手順を踏むんだ。
まずモニターをチェックしながらSTchangeを見て
バイタルチェックしながら問診だ)


「はいよ」



「血圧を測らせてくださいね。
痛みは締め付けられるような感じですか?
圧迫感がありますか?」
(もしそうなら心筋梗塞の可能性大だ、緊急事態として扱う必要がある。
そうなったらリーダーへ報告して、救急カートと除細動器を用意して
ベッドを平らにしていつでも蘇生できるようにして……)


「そんな感じはないねぇ、なんかピクッってなるのよ」
(痛みの性状は、心筋梗塞のそれとは違うらしい。
しかしまだそれだけでは否定できないし、別の問題があるのかもしれない。
高齢者だし、典型的な症状がでるとは限らないし)



「血圧は……ですね、心電図見てみましょうか」
(バイタルは異常なし、モニター上も明らかなSTchangeなし。
以前のモニターと比べても大きな変化はなさそうだ。
不整脈はあるけど、今までとは変わらず。
うーん…梗塞の可能性は低くなってきたけれど
明らかな否定は今はまだできないな。
リーダーに報告する必要があるけれど
一応、緊急度は超緊急ではないようだから12誘導心電図をとってから報告しにいこう)



というわけで、病棟にある12誘導心電計を取りに走る俺。

(ついでにカルテも持って行って、来院時とカテ後の心電図と比較しよう!)

ガラガラガラガラ…


「いったいなにしてるの?」

上の先輩から声がかかった。

「心筋梗塞の患者がトイレ歩行後に胸痛を訴えたので心電図をとろうと…」

「なんで報告しないの?!」

「12誘導とってから報告しようと…」

「リーダーに報告するのが先じゃないの?ねぇ?」

「すみません…」
(こんなところで足をとめてる場合じゃねえええええ!)

「いいから、早く行って」

「はい!」



若干足止めを食らったものの、すぐに患者のそばに行き12誘導心電計をつける。

「…うーん、前回の心電図とは変わってないなぁ」
(心臓の虚血性変化が一瞬ならわからないかもしれないけれど
痛みが出ているときにも特に変化はないしなぁ…
状況的に、heart attackの可能性はあまり高くはなさそうかも)

「また血管がつまったのかい?」
(そうだよな、そりゃ不安になるよな。
可能性は否定できないけど今はそれはなさそうだ。)

「検査してみたけど、今のところはなにもなさそうですね」
(痛みの性状、部位、バイタル、モニター、表情…
総合的に見てもやっぱり梗塞とは考えにくいよな)

「急に驚かせてごめんなさい、ゆっくり休んでください」




そう、とりあえず明らかな異常はなかったのだ。
しかしこのあとが俺の腑に落ちなかった。
患者から離れたところで上の先輩は俺に言った。


「なんですぐにリーダーに声をかけなかったの?」
「ひとりで対応できるとでも思ったの?」
「本当にheart attackだったらどうするの」
「4人も受け持ってるんだから対応できないでしょ」
「ちゃんと考えて」


「はい、すみませんでした」

言いたいことはあったが、全部飲み込んで謝った。

そう、確かに先輩の言うとおり本当に梗塞があったかもしれない。
そうならば真っ先にリーダーに声をかけるのは当然だ。

だが俺も何も考えなかったわけではない。
上記の行動中(  )内は全て自分が状況からアセスメントをし
今、何が起きているのかを考えた末に行ったことだ。
自分のアセスメントでは総合的に考えて梗塞の可能性は高くはなかった。
だからこそ、報告する前にエビデンスをそろえようと
先に12誘導心電計をとりに走ったのだ。
自分を過信しているわけではないが、それが一番妥当だと判断したのだ。

しかしそれについて、上記のように言われてしまった。
しかも俺の言葉を何一つ引き出すこともされないまま。
アセスメントした内容を聞いてくれることもなかったから
一方的に俺が勝手に判断して、誤った行動をとったような感じになっている。

これが考えなしの行動だったら、そのように言われても仕方ないだろう。
だがアセスメントした末の行動でこのように言われたらもうなにもできない。



これについて、リーダーだった先輩はこういってくれた。

「先に心電計を取りにいったのは間違いじゃないと思うけどなぁ」

これで少し救われたが、ほかの先輩の意見も聞こうと思い
自分の隣で患者を受け持っていた先輩にも状況を話し、相談した。

「それはあんたは間違ってないでしょ。
あたしはそれでいいと思うよ。
自分で、そうアセスメントしてその通りに行動できてて
ちゃんとエビデンスもそろっているんだから、間違いではないと思う」

俺は、自分もこのアセスメントと行動には間違いはなかったと思う。
(詳細な部分では抜けているところがあるとは思うが)
だが、そのアセスメントを話も聞いてくれず
とった行動を否定されてしまっては
次に同じようなことが起きた時に自分の行動に根拠も自信も持てなくなってしまう。
それがあっては、もしかしたら助かるものも助けられなくなってしまう。
それはなんとしても避けたかった。



とりあえずこの方は無事に転床できたみたいだし
痛みも梗塞によるものではなかったから幸いだ。

きっと今後もこういうことがあるだろうけれど
そのときも、自分の中でしっかりと情報をとり
アセスメントをしてから自信をもった行動をとれるようがんばらねば。
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  1. 2011/05/10(火) 20:51:51|
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